鹿児島最大の繁華街・天文館にある”そらのまちほいくえん”さんにお邪魔してきました。

大きなアーケードのある通りから、照国神社に向かうテンパーク通りにある企業主導型保育園で、ビル1Fの半分が惣菜店、1F-3Fが保育園になっています。
園児の足で10分ほどのところには、遊具の公園と芝生の公園がある環境。
ちょうど到着した頃、1歳児クラスの子たちが手をつないでお出かけするところでした。

園内には調理の様子がわかる厨房があります。厨房を覗く窓横の壁にはその日のおやつやご飯の献立。その下には備え付けの配膳台。同じ部屋には、みんなで調理をするときにも使えるようにステンレスの天面になった、園児サイズの大きなテーブルもありました。

園では、食べることを大切にしており、その日は0歳児クラスが炊き込みご飯と大根のお漬物をつくっていました。

先生たちが生の野菜を園児に手渡し、匂いや感触を体感したり、調味料をちょっぴり舐めて味を確かめてみたり。そして、先生たちが園児たちの目の前で切った炊き込みご飯の食材は、園児たちの手でお釜へと入れられます。

印象的だったのは、先生たちが「生姜いい匂いだね~」と呼びかけながら、園児はそれぞれ生の生姜を手に持って、どんなものかな?と体感していた中で、パクッと口に入れてしまい怪訝な顔になった子に「いい匂いなのにね~?おかしいね~?」と、見守りながらその子の疑問を言葉にしていたことでした。言語化してもらえることで、園児は落ち着いて状況を考えている様子でした。



その日の給食のメニューは、玄米ごはん・みそ汁・魚のマヨネーズ焼き・れんこんグリル・梅納豆。

年齢ごとに配膳の仕方や食べ方の練習段階が違う様子でした。
例えば配膳のとき、1歳児クラスは、手を膝の上に乗せて座って、ランチョンマットを先生にひいてもらい、ごはんとおかずがワンプレートになったものを配膳してもらう。3歳児クラスは、自分でごはんをお茶碗に、おかずをお皿に取ってトレーで自分の席まで運ぶ。4,5歳児クラスは、みそ汁も自分で運んでいました。

そして食べ方では、1歳児クラスは、しっかりとスプーンやフォークを使うこと、器を押さえて食べること、おかずやご飯をバランスよく食べ進めることを練習中の様子。3歳児クラスになると、お箸を使って、器を持って、バランスよく食べる、はほとんどの子が基本として身についている様子でした。また、「どんな味がするか」「なにが使われているか」など食べながら考えるような、先生からの呼びかけがたくさんありました。

給食のみそ汁のお味噌は園児みんなで毎月作っているもので、その日は8月につくったものが使われていました。やわらかい塩味のとてもおいしいみそ汁でした。
午前中に0歳児クラスが作った大根のお漬物は、給食の時間に「今日は◯◯クラスさんが作ってくれました」という紹介と共に配膳。みんな配られるのを楽しみに待ち、感想を言いながらたのしくおいしく食べていました。


給食中もですが、先生と園児が常に細かくお喋りしているようでした。中でも、1歳児クラスの子に世間話のように先生が話しかけていることがとても印象的でした。たくさん話しかけられている分、ちゃんと話を聞いてコミュニケーションができて、お友達同士でもしっかりと会話しているような様子でした。



ちなみに、印象的な空間はスタッフスペースのあるフロアでした。空間の真ん中に大人の腰高より少し低いくらいの壁と園児たちともお喋りできるようなカウンターのある島がスタッフスペースとなっていて、その周りで遊び・ご飯・お昼寝などの園児たちの活動も行われていました。

また、「青い壁」や「黄色いぞうの絵」など、園児たちの集合場所としてわかりやすい目印が自然に各所に設けてあり、施設感が強くなるサインよりも、空間に馴染ませながら園児へ言葉で示しやすくすることが大事なように感じました。



在間 夢乃

1993年 兵庫県播磨町生まれ、在住。
京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 デザイン学専攻修了
グラフィックデザインを中心に映像やアニメーション、人サイズのプロダクトデザインに取り組む。
明石高専で建築を学んだこと、離島にルーツがあることから地域に関心を持つ。

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